【読書メモ】そのうちなんとかなるだろう

そのうちなんとかなるだろう 1 の読書メモ.著者は大学入試の評論でよく取り上げられている学者,のイメージが強いかもしれないが,合気道の高段位者であり,武道の概念を噛み砕いて言語化してある著書が多数確認される.

今回は,ぱっと読んだところ以下後書きに書かれていたフレーズが何となく心に引っ掛かったので読み進めることにした.

僕がやったことは全部「なんだかんだ言いながら,やりたかったこと」であり,僕がやらなかったことは「やっぱり,やりたくなかったこと」です.(P.237 より)

引用(気になった部分)

以下2点,気になった部分を引用する.

その1:武運に関する記述.

どんなとき,どんな場所でも,僕たち一人ひとりには,自分にできること,自分にしかできないことがあります.(中略)

でも,ふつうはそれがなんだかはわからない.

修行を積むと,「今,ここでだと,私だけができること,他ならぬ私が最もそれに適した仕事がある」ということがわかるようになる.

そのときに,ふっとそれが「自分が前からずっとしたいと願っていたこと」のように思えてくる.

ここが武運の勘所です.(P. 96〜P.97 より)

修行を積むことで,自分の立場が客観視できるようになり,最適な行動が直感的に選択できる,ということを示唆しているのであろうか.

その2:仕事であった人と長く付き合うための秘訣を語る部分より.

人に質の高いものを生み出して欲しいと思ったら,いいところを探し出して,「これ,最高ですね」「ここが,僕は大好きです」と伝えたほうがいいに決まっている.

(中略)批判が当たっているからと言って,それで次の仕事に向かって「さあ,やるぞ」と意気軒高になるということはありません.(中略)

絶対にありません.

批判を受けたせいで魅力が増すということはないんです.

というのは,才能ある人の魅力というのは,ある種の「無防備さ」と不可分だからです.

(中略)

才能はしばしば,「あなたには才能がある」という熱い期待のまなざしに触れたことがきっかけになって開花する.(P. 186〜P.188 より)

言われた経験(皆さんおありでしょう)を鑑みるに,上記主張は正しいと考える.自分も相手の良いところを伝えられるようにしたい.まだ「無防備さ」の概念があまりピンと来ていないので今後経験を重ねる上で理解していきたいところではある.

以上

  1. 内田樹, “そのうちなんとかなるだろう,” マガジンハウス, 2019.