知ってはいけない現代史の正体 (参考文献 1) の読書メモ. ひょんなことから著者の YouTube チャンネルを知り,視聴していると著者の歴史観が学校で学ぶものと違うことに気づいた.詳細を知りたいと考え当該書籍を購入した.ちなみに YouTube チャンネルの例は以下.
「ひとりがたり馬渕睦夫」#9 ディープステートvsトランプ〜米中間選挙振り返り〜
概要
世界はアメリカによって支配されている…のではなく,そのアメリカを支配している「ディープステート(Deep State)」なるもので支配されている,というもの.「ディープステート」という標語は著者の造語ではなく,現在のアメリカ大統領 D. Trump も言及している.
Unelected, deep state operatives who defy the voters to push their own secret agendas are truly a threat to democrasy itself.(参考文献 1, P.26 より孫引き)
その「ディープステート」が今まで用いてきた手口を知り,正しい歴史観を身につけよ,と筆者は主張している.
所感
著者が唱える「ディープステート」が世界をしている説,賛成であるか反対であるかは置いておいて,ビックリするほど説明そのものには論理の矛盾が見当たらない.もしかしたら正しいのかもしれない(仮に著者の説が正しい場合,D. Trump がメディアから叩かれるシーンをよく見かけるのは「ディープステート」にとって D. Trump が厄介な存在であるから,ということになる).
今回得られた知見は以下2点である(詳細は後述).いずれも戦略的思想に関するものである.
- その1:目的をオブラートに包む
- その2:分割統治(divide-and-conquer)
引用(気になった部分)
- 『その1: 目的をオブラートに包む』に関する記述. 筆者は国際連盟設立の真の目的が国家干渉可能な機関を立ち上げることであると考えており,以下の記述がある.スポーツチャンバラの観点(!)から鑑みるに,相手に技を当てるためには狙いを悟らせないことにあるから重要な戦術であると考える.
誰も反対できないであろう「平和」の大義名分のもとに世界は洗脳されました.主権国家というものは,他の「国」というものに主権を侵害されることには強く抵抗しますが,「国際機関」ということになると一気に抵抗感が薄くなるのです.(参考文献 1, P.60 より)
- 『その2:分割統治(divide-and-conquer)』に関する記述. 分割統治とは,植民地を人種や言語,宗教等を理由として紛争を起こし,分断することで宗主国が支配しやすくなるようにする戦略のことである.竹島問題を例にして,以下を指摘している.2点目は個人的にとても鋭い指摘であると考えている.
- アメリカは日韓を「分割統治」するために反日教育などを強行した(参考文献 1, P.120 より)
- 韓国から要請があったとき竹島は日本領だとアメリカが公言していれば,韓国はアメリカに従わざるを得なかったでしょう.アメリカはなぜ公表しなかったのでしょうか.日韓両国が竹島の領有権をめぐって紛争し続けることを望んだからです(参考文献 1, P.120 より).
ドラマで言えば複数のキャストを配置することでシナリオを作ってしまうわけですな.悪役もセットで用意しておくことがみそ.上記の例では以下2点の結果が生じている.
- 無駄なリソースを割かせることで進歩の邪魔をさせる
- 日本視点で,韓国:悪/米国:善の構図を作り頼らざるを得ないようにする
その他
- 中国人の性質として著者は3点の重要ポイントを挙げている.マクロな視点を持っておきたいが,これは果たして正しいのだろうか(①は正しいと思うけど)…
ここで,中国を見る時に忘れてはならない重要な視点を3つ紹介しておきましょう.①中国は共産党の独裁国家であるということ,②中国人は超個人主義者であるということ,③中国人に国家観はないということの3つです.(参考文献 1, P.193 より)
参考文献
- 馬渕睦夫, "知ってはいけない現代史の正体, " SB 新書,2019.