「超」入門 微分積分:読書メモ

「超」入門 微分積分 の読書メモ.当該著者の書籍は大学時代に食える数学を読んでおり,「自分の好きな分野は書籍内の『数学Ⅳ』であるのだな」と妙に納得した記憶がある.微分積分となると,理系の学生のほとんどが馴染みある分野である.しかし,入門書を読むことでハッとすることがある(本書まえがきにも以下示すように同様の記載がある)ため,本書を読んで見ることにした.

ちょっと硬い話になりますが,微積分の本質は,方法論にあります.ようするに,考え方の「コツ」をつかんでしまえば,複雑な数式の意味も理解できるようになります.そうなればしめたもので,後は必要に応じて技術を身につけていけばいいのです.反対に,「コツ」をつかまずに技術から入ろうとすれば,微積分の勉強は砂を噛むような苦行になってしまうでしょう(P.5〜P.6より).

所感

図形を用いた直観的な説明が多く,サクサクと読めた.またネイピア数の定義について積分の観点から書いてあったのは興味深かった(微分の観点から書いてある書籍は多数存在するが).数学とは厳密性を重要視する学問であるイメージが強いが,微積分の本質は大雑把に考えて,細かいところは無視するということを著者が協調していたのがビックリした部分であった.

引用(気になった部分)

数学は厳密性を重視するが,それ以上に本質を抽出することに主眼を置いている.そのために数学を利用した工学は発展したのだな,と考えさせられた一文.

もし,なめらかな線を完璧に再現しなければいけない,と考えたら,液晶ディスプレイは誕生しなかっただろう.あえて完璧を目指さない,近似という方法のおかげで,画期的な技術が生み出されたのである(P.22 より).

参考文献

  • 神永正博, "「超」入門 微分積分, " 講談社, 2012.
  • 神永正博, "食える数学, " ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2010.